キャンピングカーの旅は、自由で豊かな時間を与えてくれます。しかし、その快適さの裏には、見逃せないリスクが存在します。今回注目するのは「タイヤバースト」――つまり走行中のタイヤの破裂です。
見えないリスク、タイヤバーストの恐怖
キャンピングカーは、一般的な乗用車と比較して重量が重く、タイヤにかかる負荷も大きくなります。特にライトキャブコンやフルコンといった中〜大型の車両では、定員フル乗車+荷物+水タンクの重量がかかり、走行中のタイヤに相当なストレスが加わります。
JAF(日本自動車連盟)によると、高速道路上でのバーストによる事故は意外と多く、2022年度の統計では、高速道路上でのタイヤトラブルのうち約24%がバースト絡みであるとのこと。またアメリカNHTSA(運輸省道路交通安全局)の調査でも、重量超過によるタイヤ破裂が多くのRV(Recreational Vehicle)事故の一因となっていると報告されています。

バースト事故の実例:悲劇は突然に
ある中型キャブコンを使用していた家族は、夏の旅行中に高速道路を走行中、左後輪が突然バースト。走行中の熱や路面温度、荷重が重なり、タイヤの内圧が限界を超えたことが原因でした。幸いにも車体の傾きによってガードレールに接触しただけで済みましたが、子どもたちは大きな衝撃音に泣き出し、その後の旅も早々に切り上げる結果となりました。
タイヤバーストの主な原因
- 空気圧不足:タイヤ内の空気が不足すると、タイヤがたわみすぎて発熱・劣化が進行
- 過積載:規定以上の荷重がタイヤにかかると、破裂リスクが急上昇
- タイヤの経年劣化:たとえ溝が残っていても、製造から5年以上経つとゴムの劣化が進む
- 長距離・高速走行:夏場や舗装状態が悪い道での長時間走行も発熱の要因に
あなたのタイヤ、大丈夫ですか?チェックポイント
旅前の点検は、事故を未然に防ぐ重要なプロセスです。以下のチェックを欠かさず行いましょう:
- タイヤの空気圧(指定値であること)
- 溝の深さと偏摩耗の有無
- タイヤの製造年週(4桁コードで確認)
- スペアタイヤの状態も忘れずに!

タイヤの選び方と空気圧管理
キャンピングカーには「LT規格」または「C規格」と呼ばれる高荷重対応のタイヤがあります。また空気圧は、通常より高めに設定されていることが多く、適切な空気圧での管理が欠かせません。TPMS(タイヤ空気圧モニタリングシステム)の導入でより安全性が増します。
アウトドア視点:バーストは旅の敵
アウトドアや車中泊が好きな人こそ、安全への意識は高く持ちたいところです。バーストによって旅の予定が狂うだけでなく、事故処理やタイヤ交換にかかる費用・時間は予想以上です。
タイヤトラブルでのJAF出動要請はキャンピングカー利用者にとって意外に多く、特にお盆やGWなどのピークシーズンに集中する傾向があります。
「あのとき、ちゃんと空気圧見とけば……」と後悔しないために、普段からの備えと点検が何よりの防止策です。

まとめ:安全な旅は足元から
キャンピングカーは「動く家」であると同時に「走る車両」です。だからこそ、足元の安全――すなわちタイヤの状態が、命を守る最前線になります。国内外の事例を見ても、バースト事故は決して珍しい話ではありません。
「荷物が多いから」「遠出だから」といった理由でつい後回しにしがちなタイヤ点検。次回の出発前には、ぜひ一度、ゆっくりとタイヤと向き合ってみてください。
旅の終わりが笑顔であるために。
参考・出典:
・JAF「タイヤの点検と管理」
・NHTSA Tire Safety Report 2023(米国運輸省)
・国土交通省「自動車の保安基準とタイヤに関する注意」
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