車中泊というライフスタイルが日本でもじわじわと市民権を得つつありますが、実はこの動きは世界的なトレンドでもあります。この記事では、「車中泊 研究」をテーマに、欧米を中心とした海外の学術研究の情報を元に、車中泊の意外なメリットや課題、さらには今後の可能性について深掘りしていきます。


車中泊 研究が示す、心身へのポジティブな影響
アメリカのユタ州立大学の研究(2019年)では、キャンピングカーでの生活が与える心理的効果について調査が行われました。週末の2泊3日の車中泊が、うつ傾向やストレスレベルの改善、さらには創造性の向上(アイデアを生み出す力)に寄与することが明らかになりました。これは私も体感しています。
また、イギリスのラフバラ大学では、高速道路のサービスエリアで車中泊をしたドライバーと、他の休息スタイルの人々を比較した研究があります。結果として、車中泊でもしっかり休めば、翌日の認知機能(記憶・注意力・判断力)や反応速度(外部刺激への素早い対応力)に良い影響が見られました。
これも、みなさんご存知のことが、科学的にも確認された形です。

車中泊に潜む課題:法規制と地域社会のバランス
一方で、車中泊には課題もあります。カリフォルニア大学の都市社会学研究(2020年)では、都市部での長期滞在型車中泊が住民との摩擦を生むリスクがあると指摘されています。公共スペースや路上駐車を巡ってのトラブル、またゴミ処理や騒音問題が地域社会との摩擦を生みやすく、規制強化の動きが進んでいます。
カナダ・バンクーバーでは、「ステルスキャンピング(目立たない車中泊)」の増加により条例が改定され、夜間駐車が制限されるエリアが拡大しています。

キャンプ場ではない選択肢としての車中泊
従来、アウトドアといえばキャンプ場という選択肢が主流でしたが、海外では「ブーンドッキング(Boondocking)※日本ではドライキャンプ」と呼ばれる、キャンプ場に頼らない車中泊スタイルが広がっています。アメリカ西部では、国有林やBLM(土地管理局)の土地を利用した無料滞在が認められており、費用を抑えつつ自然を満喫できます。

日本でもRVパークの整備が進んでおり、安全かつ快適に車中泊できる環境が整いつつあります。RVパーク新規認定施設(2025年6月)も参考になります。
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移動の自由と自己決定が与える自己効力感
ベルギー・ルーヴェン大学の研究では、「旅の自由度」が人の幸福感に与える影響を調査。固定された旅程よりも、自ら宿泊地や移動ルートを決められる“柔軟な旅”の方が、自己決定感が高まり、満足度も上がるという結果が出ています。
車中泊は、この「旅の自由度」を象徴するスタイル。目的地をその場で変える、景色の良い場所で眠る、雨が降ったら場所を変える──こうした柔軟性が、旅の幸福感を引き出す鍵になるのです。
車中泊 研究から見えてくる、未来の旅のかたち
新型コロナウイルスの影響で密を避ける旅行スタイルが求められる中、車中泊は“移動式プライベート空間”として再注目されています。オーストラリアでは、パンデミック後にキャンピングカー販売が前年比で170%増というデータもあります。これは日本でも同じですね。
これは生活と旅の境界が薄れていく社会の動きと連動しており、テレワークやポータブル電源の普及も車中泊ライフの可能性を後押ししています。

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まとめ:科学が証明し始めた「車中泊の本質」
海外の車中泊研究を紐解くと、単なる“旅の手段”にとどまらず、「心の再起動」や「生活の自由化」といった深い意味が込められていることが見えてきます。
マナーやルール、地域との共存といった課題はあるものの、正しく活用すれば、車中泊は旅そのものの定義を広げてくれるツールになるはずです。

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参考・引用元
- Loughborough University – Alertness & Caffeine Nap Study(2023年)
- Transport for London(TfL)– Fatigue in London Bus Drivers(2022年レポート)
- Nature exposure and positive affect: A meta-analysis(環境心理学レビュー、2019年)
- Caravan Industry Association of Australia – Market Insights(パンデミック後のRV需要)
- Urban Affairs Review – Stealth Camping and Urban Inequity(2020年)
- American Psychological Association – Nature and Mental Health(2020年)
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